自分の職業の選択肢として、エステティシャンという仕事に興味を持つ人にとり、この仕事で将来のイメージが描けるかどうかとういうのは非常に気になるところです。ここでは、検討の際の参考のため、エステ業界の将来性と職業としてのエステティシャンの可能性について解説いたします。
エステ業界の将来は、新型コロナウイルスの流行期には大きな影響を受けたものの、コロナ禍以降(ポストコロナ)は、スピードは緩やかなものの今後も伸びていく業界であると考えられます。その根拠は、「若年層をはじめとした男女問わずの美意識の向上」「女性の社会進出の進展による女性自身の美容への投資の増加」「モノ消費(モノを買うための消費)からコト消費(体験にお金を使うための消費)へという世の中の消費スタイルの変化」といった様々な世の中の変化が背景にあるためです。
特に、モノ消費からコト消費へという流れはこれからも進むと予測されていますので、エステサロンでエステティシャンによる施術を受けるというようなサービスは、その場所に行くからこそ受けられる体験型サービス(つまりコト消費)ですので、将来にわたっても根強いニーズのある業界と言えるでしょう。
近年、若年層を含む男女を問わず、美意識が高まっています。人々は自分自身の外見や健康に対する関心が高くなり、美容に対する投資を積極的に行っています。エステサービスは、美容と健康の両方に対応し、個々のニーズに合わせた施術を提供することで、この需要に応えることができるでしょう。
女性の社会進出の進展に伴って、女性自身の美容への投資が増加しています。女性は自己表現や自己管理の一環として、美容に対する関心を高めています。社会進出に伴い、女性は自己の外見やイメージに対する意識を高め、自分自身をより良く保つための美容ケアを重視するようになりました。エステティックサービスは、そのニーズに応えるための手段として、女性にとって魅力的な選択肢となっています。
また、女性の社会進出の進展は、忙しいライフスタイルを伴うものであります。キャリアウーマンや忙しいママたちにとって、忙しい日常生活の中でのエステサロンで施術を受けながらのリラックスできる環境は、癒しの時間であり、美しくなりながらリフレッシュできるという魅力があります。
近年、消費者の嗜好がモノ消費からコト消費へと変化しています。モノ消費とは「欲しいモノを手に入れたい。」というような、「お買い物・ショッピング」の消費のことです。一方、コト消費とは、「何かをしたい、体験したい」というような、「時間を過ごす」ための消費のことです。モノ消費からコト消費へという変化は、世の中に商品が溢れその状況に慣れてしまったことで、「欲しい!」という魅力を感じることが減ってきたということが背景にあります。サブスクなど、「自分のモノにしなくてもいい。必要な時にに利用さえできればいい。」というようなサービスが定着してきているのも、そうした背景からです。このように、「体験したい」というコト消費は年々増加してきています。
消費者庁の「消費者基本意識調査(2016年度)」によると、若い世代になるほど「コト消費」にかける金額が高く、そして「今後もそういう方面にお金をかけたい」との回答が多い傾向になっています。これから5年、10年、20年と時が経過するとともに、こうした意識を持つ世代の人口がますます増えてくることは予測されています。ビジネス界ではこうした傾向を先取りしており、ショッピングセンターなどで体験型サービスの店舗が増えてきているのもこうした傾向の表れです。このように身近に体験型サービスが増えてくることで、エステを受けるという時間の過ごし方も、今まで以上に身近なものになってくることも期待できるでしょう。
エステティシャンという職業は、日々の業務を通じ様々な知識や能力を身につけることができる職業です。それは、美容の知識やエステ技術だけでなく、自身の可能性を広げ、より良い将来を描くことができるような知識や能力も育むことができます。
エステティシャンとしての経験は、美容の知識だけでなく、健康な身体のための知識も深まります。そのことは、お客様の様々なニーズに応えることだけでなく、自分自身や家族の美容や健康にも役立ちます。
人生には様々な転機があり、備わっている力が多いほど転機でより良い将来へと進んでいける可能性が高まります。例えば、出会い、結婚、出産なども転機です。「引越先で新しい生活拠点で新たに仕事を探したい」「子育てに区切りがついて何か新たな仕事にチャレンジしたい」というような時に、エステティシャンという仕事を通じて備わった能力は、必ず後押ししてくれることでしょう。また、「これがやりたい」という人生の目標を見つけた時、エステティシャンとして備わった能力による自信が、尻込みする気持ちを励まし、その実現可能性を高めてくれることでしょう。
エステティシャンという仕事に、日々向き合うことで 次のような力が備わってきます。
特に接客は、これからの将来、どのようなサービスや業界かは問わず、「徹底的に省力化したセルフレジなどのIT接客」と「おもてなしや心遣いが感じられる接客」に二分されていくと考えられます。そして、後者の「おもてなしや心遣いが感じられる接客」は、人と人とのつながりや感情的なコミュニケーションを重視するため、特に高付加価値のサービスや高級サービスでは重要な要素であるため、エステティシャンという仕事に限らず、他の業界でも高く評価される要素です。多くの企業やサービス業界では、お客様に対して良質な接客を提供することで差別化を図り、競争力を維持する必要があるため、おもてなしや心遣いが感じられる接客ができる人材は、幅広い業界で求められていくでしょう。